前回はeポートフォリオが高校だけの運用ではないことについて書きました。
中学校までの義務教育段階までは「キャリア・パスポート」として学びが蓄積されます。
それを上手く高校に接続することが現状の課題です。
今回は、高校現場で実際に運用されているeポートフォリオについて、どんなサービスやツールがあるのか紹介します。そして、3つの運用ポイントをお示しします。
目次
Classi
Classiはベネッセとソフトバンクの合弁会社であり、サービスです。
学習動画、学習記録、アンケート作成などの様々な機能が備わった総合プラットフォームです。
その中の一機能にeポートフォリオがあります。生徒は学校での様々な活動を振り返り、蓄積することができます。
2018年の3月にはポートフォリオをテーマにした研究会が開催されました。
Classiは全国の高等学校で非常に多く利用されており、2018年にeポートフォリオ機能が追加されてから、各学校でポートフォリオの蓄積がなされている。
また、ベネッセのマナビジョンというサービスにもeポートフォリオ機能が備わっており、模試の振り返りや学習活動の履歴を蓄積することができる。
スタディサプリ
学習動画「神授業」を安価に視聴できるリクルートのサービスです。
こちらも全国の高校で非常に多く導入されており、BtoCでも展開されています。
学びのデータを蓄積することができます。
Japan ePortfolio
通称jep。高校と大学を統一フォーマットでサイト情報を接続します。関西学院大学が代表。
Classiやスタディサプリで蓄積されたeポートフォリオデータを、このjepのシステムに流し込んで大学入試出願をします。
Feelnote
SNS型eポートフォリオ。
学校のあらゆる活動を蓄積でき、友達や先生にシェアすることができるのが特徴。
運営しているサマデイは、新しい大学入試問題を用いたキャリア教育サービスも提供しており、こちらの教材を使ってeポートフォリオを蓄積できるようにもなっている。
特徴は、海外の大学に出願できることです。
UCAの出願資料にすることが
できます。
Universal College Applicationは、アメリカをはじめとする世界の高校生に使用されているオンラインアプリケーションサービス(大学入学者選抜システム)です。UCAには、ハーバード、プリンストン、ジョンズ・ホプキンスなど、約40の大学がメンバーとなってコンソーシアムをつくっています。
今後、日本を含むアジア地域の大学のための「UCA ASIA」もスタート。学生が世界地図を広げて進路を選択でき、ひとつのアプリケーションで複数の大学に出願できるシステムになります。
スコラ手帳
中高生が多く利用している手帳。紙の手帳でログを蓄積し、定期的にJapan eポートフォリオの専用用紙に記載し、最終的にデジタルログの蓄積を行います。
eポートフォリオ運用の注意点
運用の注意点を3つご紹介します。
1. 生徒が主体的に入力すること
生徒は、自分の学びをポートフォリオに積極的に入力したがるでしょうか?
現状では、朝礼時やイベントごとに入力を促さないと定着していない学校が多いようです。
主体的に入力したくなるような仕組み作りが必要です。
instagramやtwitter感覚でカジュアルに記録させたらいいと思います。
入力対象や入力する時間、場所の制限を極力少なくし、友達と対話しながら入力できるような場作りが必要です。
まずは記録物を量多くため、学期末にまとめる作業を取り入れましょう。
2. あらゆる活動を記録する
jepにデータを流し込んでも、全ての大学に出願できる仕組みはまだ作られていません。
また、全ての大学教員が全生徒のデータを細かく見るとは思えません。
大学入試が変わっても、大学独自のフォーマットでの出願形式は残ります。
大学はそれぞれ異なるカテゴリーの学びのデータを求めます。
学習に関するデータだけでなく、行事や課外活動の振り返り、毎日の生活のちょっとした所感メモが出願の材料になったりします。
記録物の量はできる限り多くためることで、各大学の求める形式で組み合わせ、対応することができます。
3. 生徒は自分のブランディングをしているという自覚を持つこと
eポートフォリオ蓄積は、要は自分の価値を構築するプロセスです。自分のブランディングです。
かつては入試ごと、就職試験ごとに各書類を作成していましたが、それが一貫統一されるというのがeポートフォリオです。
そこにはストーリーが存在し、自分のブランディングを一生涯を通して行います。
その意義、意味について生徒には理解してもらう必要があります。
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