少し前に「老後2000万円問題」が議論を呼びました。
誰が言った言わないとかの犯人探しが本質なのではなく、近い将来くる国民年金制度の限界に対して、国民がいかに金融リテラシーを高めていくか、どのように学校教育から金融教育を行なっていくか。
論点はそちらに移行しなければなりません。
現在では学校現場で金融教育が行われています。
さらに今後、どのような金融教育が必要なのかについて書きました。
目次
学校で行われている金融リテラシー教育
実は、最近では金融リテラシーを向上させる教育プログラムが行われています。
金融広報中央委員会では幼稚園から高等学校まで以下の様々な教材・プログラムを提供しています。
- 生活設計・家計管理
- 経済・金融の仕組み
- 消費生活
- キャリア教育
高等学校 ― 2.経済・金融の仕組みに関する分野の実践事例 ― 金融教育ガイドブック~学校における実践事例集|知るぽると
(金融広報中央委員会)
これらは大概、「総合的な学習の時間」やコアカリキュラムの外で行われることが多いですが、以下のように普段の教科学習の中にも金融教育が取り上げられている事例があります。
「一次関数を使った計算で金銭感覚を養う 」
学校段階:中学校2年 教科:数学
分野:経済・金融の仕組みに関する分野
一般社団法人全国銀行協会でも学校向けの教材を提供しています。
知ろう!学ぼう!お金の使い方 中学生向け教材「お金と経済の基礎」
コアカリキュラムに金融教育を取り入れることはまだ難しいようだが、徐々に「お金」に関する授業は日本の学校にも広まってきています。
品川女子学院はSGH(スーパーグローバルハイスクール)指定校の取り組みとして、ファイナンシャルアカデミーと協同で、高等部の生徒を対象に「お金の授業」を行っている。学校の先生ではなく、ファイナンシャルアカデミーの講師が生徒に直接授業を行なっています。
また、N高等学校では一般財団法人村上財団のバックアップを受けて金融教育を提供する「N高投資部」という課外活動を設立しております。
審査を通過した生徒が5人1チームを作り、実際の株式投資を行います。
このような投資をテーマにした漫画「インベスターZ」とのコラボ企画です。
漫画同様に実際に投資をするというのは、今までの学校教育にはない斬新的な取り組みです。
在籍生徒全員に課すカリキュラムではなく、選ばれた人材をさらに尖らせる教育内容であります。
最終的にはアントレプレナーシップ(起業家精神)教育に結びつきます。
どんな金融教育が必要か?
「老後2000万円問題」で
「え、そんなにお金が必要なの?」とビックリする国民は多かったと思います。
そうならないためにも、まずは自分の生活や人生に必要な目の前のお金に関する知識の習得が必要です。
この辺りの基礎的な知識は、全国民が身につけるべき素養なので、学校のコアカリキュラムに導入されるべきです。
その上で、さらにN高等学校のように、突出した人材の育成のためのカリキュラムも設置することが、個人にとっても国にとっても有益なものになります。
このような二段階の教育は、実は現状でも教材自体は整っています。
企業や国はやろうと思えば学校現場に足を踏み入れて行えます(実際に行っている人たちがいます)。
あとは、大人(国や企業)がどこまで本気を出して子どもたちに機会提供をできるかにかかっています。
教育ですから、短期的な成果は見込めないことが多いですが、長期的に制度疲労を起こしてきた「国民年金」に関する議論を収束させるためにも、長期的にいかに国民の金融リテラシーを向上させるかに視点が映ってもいいと思います。
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