2020年度からセンター試験に取って代わる「大学入学共通テスト」。その見直しと中止を求める声が高まっています。それはなぜか?理由は大きく分けて7つあります。
目次
理由①:試験概要が定まっていない
入試改革を行うことがおおよそ決まったのは10年以上前です。グローバル人材育成の観点から、改革の議論は始まりましたが、なかなか理念レベルの議論しか進まず、実施レベルの具体的な議論はほとんどなされていませんでした。試験概要を決めるまでに時間がかかりすぎたのです。
その結果、受験生にとっては試験の手続きが不透明なままです。試験内容、スケジュール、実施会場はいつ決まるのか分かりません。
理由②:地方受験生の考慮がなされていない
大学入学共通テストでは、英語の民間試験が導入されます。へき地や離島の地方受験生は、受験をするために交通費や宿泊費がかかります。試験を免除する例外措置はハードルが高いためほとんどの人に適用されません。地方の受験生ほど不利になり、格差を生みかねません。
理由③:吃音症の受験生への配慮が十分でない
こちらも英語民間試験に関する問題。吃音(きつおん)症の受験生に対して、スピーキングにおける配慮が十分ではないとされています。
導入される民間試験それぞれで配慮内容と基準が異なります。
- 試験を免除する
- 試験時間を延長する
- 面接官に申し出れば配慮する
このように内容と基準がバラバラでは受験者は不安になってしまいます。
理由④:撤退する英語民間試験が出てきた
今年、年間120万人が受験する検定試験のTOEICが撤退を決めました。一部の試験であれ、撤退するということは、試験内容が変わることを意味します。TOEICの対策をしてきた受験生や指導準備をしてきた先生方にとっては不安が大きすぎます。今後も撤退する民間試験が出てくるのではないかと心配されています。
理由⑤:記述式問題の質が低い
国語と数学では記述式問題が出題されるが、その質の低さが問題になっている。
国語の試験では、資料と課題文を読ませて80~120字で記述させる設問があります。そこでは、資料や文章から必要な情報、キーワードを抜き出せるように誘導させる形式で、思考力や表現力を問うてるものとは思えないものです。
数学の試験では、問題を解決する方略を記述させるものが出題される予定でしたが、7月に見送りが決まりました。その代わりに、マーク式問題と混在させた形で数式などを記述する問題になります。これでは以前のセンター試験とほぼ変わりません。表現力や思考力は測れません。
理由⑥:記述式問題の採点を学生がする
記述式問題の採点は、ベネッセグループが受託をしました。数十万人の記述式答案を短期に採点するために、学生の力も借りることでしょう。「学生に採点させて大丈夫か?」「採点ミスが起こりそう」などの懸念が出ています。記述式の問題を採点するということは、かなりのリソースを必要とします。
理由⑦:ベネッセグループによる民営化への懸念
上記の記述式採点のみならず、今回の改革で様々なベネッセのサービスが教育現場に入っています。
- 英語民間試験の「GTEC」
- eポートフォリオツールの「Classi」
- 高校生のための学びの基礎診断制度「スタディサポート」
公教育の一民間企業による民営化が懸念されています。
そもそも「共通な」テストに無理がある
そもそも、共通なテストで多様な学力を測ろうとすること自体に無理があるのです。大学が欲しい学生を、独自の基準の個別試験で選抜すればいいのです。
就職や転職と同じです。SPIのような共通テストに加えて、グループディスカッションや討論などのワーク、面接などで優秀な人材を選抜します。そこには企業ごとの欲しい人材の観点があります。
大学入試も今までと同じようにセンター試験と大学個別試験の組み合わせでいいのでは?という見直しの声も上がり始めています。
学生を選抜するテストも、受験生を不安にさせないためにも、早いところ落とし所を見つけなければなりません。
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