全員の学力をあげる『学び合い』とは?アクティブラーニング時代の「一人も見捨てない教育」の考え方

アクティブラーニングの授業方法の1つである『学び合い』。ただの手法ではなく、背景にある考え方は多くの先生の支持を得ています。全国の学力格差を解決できる『学び合い』に迫ります。

 

『学び合い』とは?

 

『学び合い』とは、アクティブラーニングの授業方法でもあり、「一人も見捨てない教育」の考え方でもあります。上越教育大学大学院の西川純教授が提唱した理念です。

先生は生徒たちに目標だけを提示し、あとは生徒たちに任せるだけです。

全国で様々な先生が実践されています。

 

 

『学び合い』が重視される理由

 

一般的な授業は、30〜40人を一つの教室で同じ教材を使って、同じ問題を解かせる形態です。

そもそも、この形態で生徒全員が理解することはできるのでしょうか?

 

どんなに優秀な先生でも、1つの板書で全員を理解させられることは困難です。

なぜなら、先生はその分野におけるスペシャリストなので、初学者や生徒がなぜつまずくのかは、完璧にはわからないのです。

 

そこで、生徒が生徒に教えることで、より分かりやすく理解することができます。

『学び合い』は、クラス全員が理解することを目指しています。

 

 

『学び合い』ってどうやってやるの?

 

『学び合い』の方法はいたってシンプルです。

  1. 語る
  2. 目標を提示する
  3. はい、どうぞ
  4. 振り返り

たったこれだけで、生徒たちは自発的に、主体的に学習を始めます。

 

1. 語る

 

なぜ『学び合い』をするのかを先生が語ります。

全員が目標をクリアするために、どのように動けばいいのか、生徒たちにどんな人間になってほしいか、先生の言葉で伝えます。

この語りで、全員が先生の意図を組むことは難しいかもしれませんが、一部の生徒は必ず理解しています。

それらの生徒が後に、集団を引っ張ってくれます。

 

2. 目標を提示する

 

この授業の目標を提示します。

例えば、

数学の教科書の〇〇ページの問題を全員が解けるようになり、3人の人に説明できるようになること。

ポイントは、「3人に説明」を必ずつけること。そうすることで、説明する人は理解が深まります。

 

問題を自力で解けない生徒も、クラスメイトから分かるまで聞くことができます。

先生の専門的な言葉ではなく、友達の身近で具体的な言葉なので理解が深まります。

 

3. はい、どうぞ

 

先生が「はい、どうぞ」と言って生徒たちは学習を開始します。

まずは一人で黙々と解き始める生徒もいれば、友達に聞きにいく生徒、参考書やネットで調べる生徒、様々です。

https://twitter.com/kiegasan/status/1114657442451714048

 

できた生徒は、ネームプレートを「まだ」から「できた」に移動します。

そして、他の生徒に教えに行きます。

School Network 2016年4・5月合弁号

上記の写真は私が前職の時に実践した事例です。

 

4. 振り返り

 

先生は、全員達成されているかを確認します。

達成されていれば全員で讃えます。

達成されていなければ、なぜ達成されなかったのかを振り返ります。

 

先生からよくある質問、疑問

「先生は教えないの?」

 

教えないです。生徒が教科書や参考書を使って勝手に学習して、できた人ができない人に教えるようになります。

 

「なんで生徒たちは動き出すの?」

 

先生の初めの「語り」が非常に大切です。

必ずしも生徒全員が先生の意図を汲み取ることはできていませんが、2割の生徒はしっかり理解しています。

その2割の生徒が集団を動かすようになります。

 

「先生が教えた方が早いのでは」

 

確かにカリキュラムに沿って単元内容を教える(伝達する)だけでしたら、先生が教える方が早いです。

ですが、それで生徒たちは本当に理解しているでしょうか?

 

また、受け身の学習には限界が来ます。

その姿勢のままで学年が上がったり、大人になってはいけません。『学び合い』は、生徒を大人にします。大人として扱っています。

 

 

『学び合い』の実践を!

 

生徒を持っている学校の先生、塾の先生でしたら、今日から『学び合い』ができます。

目標を提示し、あとは生徒に任せるだけです。あらゆる教材の使用を許可します。スマホも許可しましょう。

 

先生は介入しません。先生が関わるのは最初の語りと、最後の振り返りです。

先生は教えたくなるところ、グッとこらえて見守ります。このあたりの教育観は「けテぶれ」学習法と近いかもしれません。こちらもご参考にしてください。

日本の宿題に革命を起こす「けテぶれ学習法」とは?子どもの自己学習力を育成するサイクル

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